石破茂会長石破 茂 です。

大阪府豊中市の「森友学園」の国有地格安払い下げの件は、何とも言えない奇怪な雰囲気を感じます。国民の財産である国有地が、鑑定価格からゴミ除却費用とされる8億3千2百億円も割り引かれて1億3千4百万円で売却されることなど、一体どこで誰がいかなる権限に基づいて決めたのか。ゴミ除却にかかる費用はどのように算定され、十分にそれが行われなかったとすれば、この不当な利得はどうなるのか。学園が我が国に支払った額は僅か2百万円とも指摘されており、素朴に考えてもわからないことだらけです。

国家権力が教育現場に過度に介入すべきでないことは当然ですが、学校教育法に「学校」として位置付けられ、教育基本法において政治的中立性が定められている幼稚園において、あまりに偏った教育を施すべきではないことは当然でしょう(「法律に定める学校は、特定の政党を支持し、又はこれに反対するための政治教育その他政治活動をしてはならない」教育基本法第14条第2項)。園児たちに対する教育を映像で見る限り、たいへんな違和感を覚えます。

現政権を支持しているからよいのだという考えも一部にはあるのかも知れませんが、反対の立場に立つ教育が行われたとしたらこれを認めることには到底ならないでしょう。教育内容についての指導の権限が都道府県に降りているとしても、政府・文科省からも大阪府を通じて是正を指導するなどは考えられないのだろうかと思います。野党に言われるまでもなく、政府・与党としてこの問題の真相を明らかにするのは国民に対する責務です。

私はかなり以前から、「保守」はイデオロギーではなく「雰囲気」であるという江藤淳氏的な考えに共感しているのですが、「保守」があたかも共産主義風に変質しつつあることには強い違和感を覚えます。中国や韓国をただ罵倒することが保守なのだとは思いません。

保守論壇誌「諸君!」(文芸春秋・現在休刊中)や「正論」には、福田恒存氏らを中心とする静かで深みのある論説が多く載せられていたのですが、いつからか声高で強烈な主張を中心とする論説が中心となり、読む楽しみが減ってしまいました。かつて三島由紀夫は「反共に明け暮れていると段々と相手に似通ってきてしまう」と語っていたそうですが、確かにそのような面があります。

このような時、すべての国民とすべての国々の人々に、深い慈愛のお心を持って接してこられた天皇陛下のご存在が、この上なく有り難く思われてなりません。ベトナム残留日本兵の家族のことを今回のベトナムご訪問の前にお知りになり、特に面会を希望されたというお心にはただただ恐懼するばかりです。

先月28日火曜日、水産経済新聞社主催によるセミナーで今後の日本の水産業について講演してまいりました。長く議員を務めていますが、水産政策に絞った講演は初めてで、とても勉強になりました。

世界第6位の排他的経済水域を有し(海水の体積では世界第3位)、寒流と暖流が交わる豊かな漁場を持つ我が国において何故水産業が衰退し続けるのか。水産業が成長産業と位置付けられる米国、オーストラリア、ニュージーランド、ノルウェーなどとはどこがどのように違うのか。

以前もご紹介した羽田空港内で日本初の鮮魚加工センター「羽田市場」を運営するCSN地方創生ネットワークの野本良平代表が語っている「魚が一番売れる日曜日に漁師と卸売市場が休んでいるのは消費者やマーケットを見ていないと言わざるを得ない」「年末年始や大型連休などの一年で一番稼げる時期に休むということ自体、感覚に大きなズレがある」「これからの漁業は『どれだけたくさん獲るか』ではなく『獲った一匹をいかに高く売るか』である」という言葉に本質があるように思います。

これは農業においても同じことで、農業生産額が世界第7位である日本の農産物輸出額が、何故オランダ、ドイツ、フランス、イタリア(土地利用型農業のアメリカやカナダなどではなく)よりも遥かに低いのか。それらの各国はEU経済圏なので、日本であれば「移出」にあたるものが「輸出」にカウントされるからだ、との論にはそれなりの説得力もありますが、いずれにせよ子細な検討が必要です。

本日の自民党内閣部会において、私が会長を務める自民党ユニバーサル社会推進議員連盟が今国会に議員立法として提出を予定している「ユニバーサル社会形成推進に関する法律案」の骨子が了承され、今後公明党、野党各党との協議に入ります。

当選4回の時、衆議院運輸常任委員長や筆頭理事として駅や空港などの公共交通機関にエスカレーターやエレベーター等の設置を推進する「移動等円滑化法」(バリアフリー法)の策定に関わった時からの繋がりですが、当時「車椅子に乗って、羽田空港から京浜急行を使って品川プリンスホテルまで行く」という体験を実際にしてみて、障害を持たれた方々のご苦労を全く実感していなかった自分を大いに恥じたことでした。

ユニバーサル社会とは「障害の有無、年齢等に関わらず国民一人一人が対等な社会の構成員として自立し、相互に人格と個性を尊重し合いながら支え合う社会」と定義されます。障害を持たれた方のみならず、すべての人は何らの不自由を感じることなく活動できる権利を有しており、それに応えるのが行政の義務なのですが、日本はまだそれに程遠いのが実情です。

議連事務局長として法案作成に尽力して下さっている盛山正仁衆院議員(兵庫県第一区・近畿比例)に心より感謝しております。

週末は、4日土曜日がいわき青年会議所3月例会で「人口減少社会と地方創生」をテーマとする講演と理事長との対談(午後4時・いわき文化センター)、自民党鳥取県連党大会参加者との懇談夕食会(午後8時・東京都内)。

5日日曜日は第84回自民党定期党大会・懇親会(午前10時・グランドプリンスホテル高輪)、という日程です。

2月中はずっと体調が悪くて辛い日々が続き、多くの方にご迷惑をおかけしましたことをお詫び申し上げます。ようやく少し回復してきましたので、気分を入れ替えて臨みたいと思います。

3月に入り、今日はお雛祭りとはいうものの、都心は風の冷たい日々が続いています。

皆様、お元気でお過ごしくださいませ。

政策コラム執筆者プロフィール
石破茂会長石破 茂 鳥取1区【衆議院議員】
生年月日:昭和32年2月4日
当選回数:10回
学歴:1984年3月 慶應義塾大学法学部卒業
得意な政策分野:安全保障・農林水産・地方創生