石破茂会長石破 茂 です。

今般の北朝鮮のミサイル発射については、突然「新たな段階に入った」ものではありません。北朝鮮を中国と西側の緩衝地帯と位置づけ、当面の現状維持をよしとしている間に、時間は北朝鮮に有利に働き、今日の状況となりました。

ロフテッド軌道で発射された場合の高速落下、多数集中発射、潜水艦からの発射、米国本土までの到達(在日米軍でもハワイでもグアムでも本質は変わりません)、それらの技術は着々と進歩しつつありますが、どのように、いつまでに、これらに対応するのかは一にかかって政治の責任です。

すべてを国会の場で議論できるものではありませんが、巡航ミサイル、弾道ミサイル、新たな迎撃システムなどの導入の可否について徹底的な議論を行い、結論を得なくてはなりません。防衛力の造成には多大の時間と費用が掛かるのであり、乗用車やトラックを買うようなわけにはいかないことも十分に留意が必要です。

かつて小泉内閣で、鴻池防災相(当時)が「日本がミサイル攻撃を受けたら、北朝鮮を火の海にする」というような意味の発言を委員会で行った際、当時防衛庁長官であった私は「他に手段が無い場合、策源地攻撃は法理的に否定されないが、自衛隊には現状そのような能力は与えられていない。基地の所在もわからず、空中給油能力も十分ではないままに作戦を命ずることはできない。今後、自衛隊に策源地攻撃能力を与えるかどうかは政治の判断である」との旨を答弁し、あれから15年が経ちました。

7日火曜日に日本プレスセンターで行われた安全保障についてのパネルディスカッションに杉山外務事務次官、黒江防衛事務次官らと共にパネラーとして参加したのですが、なお課題の多いことを痛感させられたことでした。

韓国の憲法裁判所による朴槿恵大統領の罷免は、我が国のみならずアジア・太平洋地域の平和と安全に多大な影響を与えます。60日以内に行われる大統領選挙では非保守系の候補者が当選する可能性が極めて高いと見られており、親北朝鮮政権の誕生が懸念されます。この点に関しても我が国において、中国が強く反対するTHAADミサイルの韓国配備を含む、北東アジア地域全体のミサイル防衛の実効性向上につき、精緻な議論をしていかなくてはなりません。

私はテレビを見る時間がほとんど無いのですが、世の中は森友学園の話題で持ちきりのようです。本件は国の独立や平和には関係のない事案であり、この案件で国政が混乱することも、政府・与党が疑惑を持たれることも避けなくてはなりません。国民に「逃げの姿勢」と受けとられることのないよう、野党に指摘されるまでもなく、徹底解明する責務を有していると考えます。

週末は、11日土曜日が自民党鳥取県連憲法改正推進本部主催「憲法改正を考える県民大会」での基調講演(午後1時半・米子産業体育館)。

12日日曜日が第7期岡山市民大学in福山で講演。

両日とも前後に関係者や地域の方々との会食・懇談会等が予定されています。

党本部の指示により、各都道府県連に憲法改正推進本部が設置されましたので、鳥取県連としては広く県民に対して憲法改正の必要性をご説明し、それぞれのご意見を聞いて世論を喚起したいと思っております。地道な努力なくして憲法改正など到底出来るものではありません。

国家主権が無い占領下において作られたものであるために、独立を守る組織たる「軍隊」についてのみならず、「国家」に関わる規定が決定的に欠けていることについてはよくご理解を頂きたく、更に努力を重ねたいと思っています。当日は東日本大震災・大津波・原発事故から6年、会は黙祷から始めます。

先月27日に衆院で予算が通過しましたため、今週は気分的に少し余裕も出来ましたが、月曜日に高知県で全国の地方創生に携わる大学関係者の会で講演、水曜日に静岡県で地元金融機関主催の講演会など移動の多い一週間でした。

各地に出向く度に、自分の知らない地域、知らない方々や物事があまりに多いことに気付かされます。

先週末いわき市に向かう途中に臨時停車した水戸の偕楽園では梅が満開でした。もう桜の季節となるのですね。皆様ご健勝にてお過ごしくださいませ。

政策コラム執筆者プロフィール
石破茂会長石破 茂 鳥取1区【衆議院議員】
生年月日:昭和32年2月4日
当選回数:10回
学歴:1984年3月 慶應義塾大学法学部卒業
得意な政策分野:安全保障・農林水産・地方創生