石破茂会長石破 茂 です。

森友事案について世の中の騒ぎは沈静化しつつあるように見えますが、スキャンダルめいた話はともかくとして、行政が適切に執行されたかについては依然として釈然としないままです。コメント欄のご投稿を拝見していると、本当にそうだなと思わされるものが多くありますが、内閣支持率がそう大きくは下落していないにも拘らず、経緯についての政府の説明に納得していない人が国民の7~8割に達しているという事実には注意が必要です。きちんと説明し、今後改めるべき点は改めると率直に言った方が国民の理解と共感が広く得られるように思います。

国連核兵器禁止条約の制定交渉に我が国は参加しないこととなりました。この交渉に米・露・英・仏・中の核保有国(勿論すべて安保理常任理事国)が参加していないので、日本が参加しても保有国・非保有国の対立を深めることにしかならない、というのがその理由と言われています。

一方、自民党安全保障調査会・国防部会においては「敵基地に対する反撃能力」を我が国としても保有すべく、政府において検討し、成案を早急に得るよう求める提言をまとめました。

報復的・懲罰的抑止力(攻撃を上回る報復を受けることが予測されるため、相手方が攻撃を思いとどまる、という抑止力)を持たない我が国としては、これを米国の拡大抑止に依存し、拒否的抑止力(攻撃を加えても所期の目的が達せられないことが予想されるため攻撃を思いとどまる、という抑止力)としてのミサイル防衛システムの実効性向上に努力しているのですが、飽和攻撃(多数の弾道ミサイルの飛来など防御側の処理能力を超える攻撃)を受けた場合など、対応しきれない事態も現状では当然想定されるのであって、あくまで自衛権行使の範囲内で相手の攻撃能力を奪うことは法理論上も当然許容されるものです。

手段としてはトマホークなどの巡航ミサイルを保有することが考えられますが、バスやトラックを買ってくるのとはわけが違うのであって、米英の運用するこのシステムを我が国が取得できるのか、策源地の位置をどのように把握するのか等々、今後の課題は山積しています。

防衛庁長官在任時に内々検討はしたのですが、具体化には至りませんでした。あれからもう15年が過ぎましたが、己の力不足を反省するが故に、今後の努力の必要性を強く感じています。

核兵器禁止に反対する人はほとんどいないでしょうし、私も「核のない世界」を願っています。悲惨極まる広島や長崎の原爆資料館や当時の記録映像を見れば、そう思わない人などいないはずですが、問題はそこに至るプロセスをどうするか、核兵器の持つ絶大な懲罰的・報復的抑止力に代わる実効性ある拒否的抑止力をどのように構築するか、です。殉教的思想を持つテロ国家やテロリストに報復的抑止力は機能しない可能性が高いのであり、実効性ある拒否的抑止力の構築はなおさら必要と言わねばなりません。

コメント欄でご紹介のあったローマ法王の「我々は核抑止力を乗り越える必要がある」との言葉は確かにそのとおりなのですが、どのようにして乗り越えるのか。我々の悩みは深いものですね。

韓国は前大統領逮捕という事態に至りました。韓国では大統領の任期が一期五年に限られていることも、歴代大統領のほとんどがスキャンダルで終わることと無縁ではないのでしょう。

大統領制と議院内閣制にはそれぞれ一長一短がありますが、国民感情が激しやすい国においては議院内閣制の方がよりリスクは低いのかも知れません。北朝鮮情勢が不穏である今の時期に、韓国がこのような情勢であることと、駐韓日本大使がいまだに帰任していないことには憂慮の念を持たざるを得ません。

私は全く知らなかったのですが、「昨年最も読まれたWebマンガ」に選出された「四十七大戦」(泰文堂刊 一二三〈ひふみ〉作)という漫画があり、紹介して下さる方があってパラパラと読んでみました。

帯には「都道府県擬人化 首都争奪戦バトル! 日本の首都鳥取に!?」、書き出しには「鳥取県。極東の島国日本の最果てに存在する世界でも類を見ない秘境である。不用意に足を踏み入れた者は不毛の砂漠に絡めとられ、生きては帰れないという」とあり、いくらなんでもあんまりだと思わずにはいられませんが、とにかく四十七都道府県それぞれにいる「ゆる神」様たちが首都争奪戦を繰り広げ、最後は鳥取県が日本の首都になるという奇想天外な物語のようです。相当にデフォルメされてはいるものの、各県の特色がよく描かれており、こういう地方を題材とした漫画が若い世代に多く読まれていることをとても興味深く思いました。

週末は、日本製鋼所室蘭製作所訪問(4月1日土曜日 午前10時30分 北海道室蘭市茶津町)、ジビエ移動解体車見学(午前11時45分・中嶋神社)、自民党室蘭支部との昼食懇談会(正午・同)、自民党北海道9区支部室蘭地区政経セミナーで講演(午後1時・同・蓬莱殿エクセレントホール)。

週明け3日月曜日は自民党沖縄第3区支部講演会にて講演(正午・ニューサンワ・沖縄県うるま市)、という日程です。北海道から沖縄まで、日本は広いですね…

明日から4月、先週末から思いがけず寒の戻りとなっていた都心もようやく春めいてきました。

季節の変わり目、皆様お元気でお過ごしくださいませ。

政策コラム執筆者プロフィール
石破茂会長石破 茂 鳥取1区【衆議院議員】
生年月日:昭和32年2月4日
当選回数:10回
学歴:1984年3月 慶應義塾大学法学部卒業
得意な政策分野:安全保障・農林水産・地方創生