石破茂会長石破 茂 です。

都議会議員選挙が告示となり、7月1日まで都内各地で選挙戦が展開されます。

公認候補が全員当選した4年前の前回とは異なり、自民党に対する風当たりは相当に厳しいのですが、このような時にこそ政党や候補者の真価が問われます。地方でも都市部でも選挙の基本は同じであって、任期中どれほどキメ細かな活動をしたかが全てです。

選挙は告示された時には既に終わっている、とは我々が先輩から戒めとして厳しく教えられてきたことですが、そうは言っても告示後に動く票によって当落が左右されることは当然あります。

選挙期間中、選挙カーのマイクはウグイスさん任せにせずなるべく自分で持つ、地名は字名まで(都市部では○○町○丁目)まで細かく言う、街頭演説ではその演説場所のご当地ネタを必ずいくつか入れる、握手する時は相手の目線より下から相手の目を見て両手でしっかりと、選挙運動を始める時はスタッフの誰より早く開始地点に行き、夜の個人演説会の最終会場が終わったら後片付けを手伝い、帰宅前に必ず選挙事務所に立ち寄って一日の労を労う、なども候補者の心得のイロハであり、これだけでも票は随分と違ってきます。候補者が誰よりも努力し、辛くて苦しい思いをしなければ誰もついてこない、というのも先輩から教わったことです。
 
学生時代、東京都狛江(こまえ)市に住んでいたことがあるのですが、共産党の市会議員が雨の日も風の日も毎朝市内の各駅で街頭演説をしていました。演説内容には全く賛同できなかったものの、その熱意と努力には感服したことでしたが、彼はその後全国でも数少ない共産党籍の市長となり、なんと四期も務めました。選挙は努力した者が勝つ、という当たり前の真理を決して忘れてはなりません。

私の言い方が不十分であったのでしょうが、獣医学部の新設について、内閣として四つの条件を提示して厳しいハードルを設け、既得権を守って、実際には新設出来ないようにしたのでは全くありません。産業用動物を扱う公務員獣医や農業共済獣医が足りないのは事実ですが、それは獣医の数自体が足りないせいなのか、産業用動物獣医の処遇が低いせいなのかをまず明らかにしなくてはならないということです。仮に後者だとすれば、獣医の供給数を増やしてもあまり有効な解決策にはならないからです。

今週週刊誌で報じられた自民党女性議員の件は、党の教育以前の、人間性の問題でしょう。上の立場の人には平身低頭、下の立場の人には厳しく当たるという人はどこにでも居るもので、何も政治の世界に限ったことではありませんが、秘書諸兄姉などのスタッフが定着しない事務所は議員そのものに問題があるのでは、ということは永田町ではよく聞く話です。

随分昔、まだ中選挙区制の頃ですが、選挙の当落予想は衆議院公用車のドライバー諸氏のものが一番当たるという話を聞いたことがあります。議員の表と裏の顔を一番知りうる立場におられるのであり、さもありなんと思ったことでした。秘密保持を求められる世界においてそのようなことが実際にあったのか真偽のほどは不明で、一種の都市伝説的なものなのでしょうが、自分自身よく自戒しなくてはなりません。

21日水曜日に第9条をテーマとした憲法改正推進本部の全体会合があり、約100人の衆参議員(それでも所属議員の約四分の一)が参加したのですが、久々に自民党らしい闊達な議論が交わされ、当初の一時間の予定が二時間近くに及びました。

かつて自民党ではこれが日常の光景であり、当選期数に関わらず自分の意見を述べ、議員各々の資質もそこで明らかになりました。議論に敗れると悔しくてさらに勉強を重ね、次の機会ではより精緻な議論を展開することが楽しみでもありました。

自衛隊出身の若い議員が「自衛隊が違憲であるという議論が存在することは自衛隊員に失礼である、という理由だけで憲法に自衛隊を書き加えるなどということをせず、もっと本質を語るべきだ」と発言したことも、総裁に近い立場とされる議員が「交戦権の否認だけはどうしても削るべきだ」と述べたことも、とても印象的でした。

今後の議論の展開は全く不明ですし、「参議院の合区問題をテーマとすることで石破の取り込みを図る」(党幹部の発言、報道による)、などという話を聞くと歎息したくもなりますが、少しだけ明るい気持ちになりました。

この件について、本日(6月23日)付産経新聞「正論」欄の佐瀬昌盛・防大名誉教授の論考はまさしくその通りと思いました。

本日は夕刻に稲城市(小磯明候補)と町田市(吉原修候補)で都議会議員選挙応援演説。

24日土曜日は中央区(石島ひでき候補・午後1時・月島勝どき東京タワーズ)、墨田区(川松真一朗候補・午後2時・錦糸町駅北口ロータリー)、足立区(ほっち易隆候補・午後3時・北千住駅西口)、豊島区(堀こうどう候補・午後4時・池袋駅西口)、大田区(鈴木あきまさ候補・午後5時半・大森駅東口ロータリー)でそれぞれ街頭演説。

25日日曜日は「時事放談」出演(午前6時・TBS系列・収録)、北海道立北海道更別農業高校訪問・意見交換(午前9時半・川西郡更別村)、平成28年台風災害復旧状況視察(午前11時・帯広市中島町)、賃貸住宅経営者政治連盟北海道支部役員との懇談会(午前11時40分・グランヴィリオホテル・中川郡幕別町)、自民党衆議院北海道第11区支部役員との昼食会(正午・同)、自民党衆議院北海道第11区支部(支部長・中川郁子代議士)政経セミナーにて講演(午後1時・同)という日程です。

来週土曜日からはもう7月なのですね。皆様お元気でお過ごしくださいませ。

政策コラム執筆者プロフィール
石破茂会長石破 茂 鳥取1区【衆議院議員】
生年月日:昭和32年2月4日
当選回数:10回
学歴:1979年3月 慶應義塾大学法学部卒業
得意な政策分野:安全保障・農林水産・地方創生