八木哲也八木 哲也です。地元の愛知県豊田市・みよし市の地方新聞「矢作新報」(R2.4.24)に掲載された私のエッセイ「時々刻々 No.953」をご紹介します。

【「時々刻々 No.953」】ついに出された「緊急事態宣言」

コロナウイルスという、我々がかつて経験したことがない大禍が日本を飲み込もうとしている。

今月、帰郷する新幹線には車両に3人、上京する際には4人しか客は乗っていなかった。東京駅のホームに降り立つとキオスクは閉店、土産物屋の多くもシャッターを下ろしている。弁当屋は営業していたが、全国各地から届いていた駅弁が入荷しないため、棚の半分以上が空だった。

秘書からは「衆議院会館の2階の議員秘書が感染したため、会館は消毒中です。いまは会館に来ないで下さい」という電話があり、宿舎に直行した。その夜には「宿舎内住人が感染しました。エレベーターを消毒するから使用しないでください」と館内放送があった。コロナウイルスは確実に身近に迫ってきている。

自民党本部で開く各部会の会議は全て中止になった。派閥の会合もWEB会議となった。本会議では参議院は一席おきに座るようになった。衆議院は、採決議案は全員出席だが、それ以外はA、B2班に分け、一席おきに座って会議をする。憲政史上、初めての対応だ。

安倍晋三首相は4月7日、新型コロナウイルス対応の特別措置法に基づき緊急事態宣言を出した。

前回(3/13)の「時々刻々」でも新型コロナウイルスについて書いたが、あれから約一か月。各国であっという間に感染者が激増、世界は一変してしまった。

緊急事態は7都府県が対象だ。愛知県は感染者数が多いのに除外された。罹災者の感染経路が明確であるケースが多いこと、感染者増加率が緩やかなことが理由だという。大村知事は政府に宣言への指定を求めたが却下され、県独自で緊急事態宣言を出した。

個人の行動には自粛が求められるが、今は感染しないように、そして感染しても拡散させないようにすることが大事だ。政府も「密閉、密集、密接」の「3密」をさけ、人との接触を7〜8割減らすよう求めている。

環境省は毎週コロナウイルス対策をWEB会議で協議している。過日ウイルス感染及び疑いのあるゴミの出し方を、事業者用、家庭用に発表した。「ゴミ出しの方法を周知することは大切だが、国民がそれを見て、どのように行動したかが大切だ」と強調した。豊田・みよし市のホームページに掲載されている。その先(市民)への展開はこれからのようだ。

時々宿舎の近くのおでん屋に寄る。店主は「今日はお客さん2人だけ。どうしよう」。場所は東京・赤坂だ。聞けば家賃は月9 0万円。彼ばかりでなく、豊田でも、みよしでも苦悩の言葉を聞く。政府は108兆円の緊急経済対策を打ち出した。V字回復を視野に入れた規模だが、数字に見合った実感が対策には必要だ。それが政治の責任だ。

地元から東京事務所に送られてくる新聞に「松坂屋ついに撤退表明」の見出しがあった。ショックだ。そごう、松坂屋と続いてきたデパートの灯が、ついに消える。豊田市は大きな課題を抱えた。新型コロナの問題も、中心市街地活性化の問題も、もう一度足元から見直したい

政策コラム執筆者プロフィール
八木哲也八木 哲也 愛知11区【衆議院議員】
生年月日:昭和22年8月10日
当選回数:3回
学歴:1972年3月 中央大学理工学部管理工学科卒業
得意な政策分野:経済産業 科学技術・イノベーション 文部科学 地方創生