石破茂会長石破 茂 です。

経産政務官の辞任・離党に続き、復興大臣の失言・辞任という事態で今週も国会は変則的な運営となりました。

私自身、閣僚や党役員の時、少なくとも二回、失言・撤回・陳謝という失態を演じており、偉そうに他人様のことを批判できる立場にはおりませんが、同じことを言っても一般人とそれなりの責任ある立場にある者は受け止められ方が全く異なるのであり、マスコミを批判してもどうなるものでもありません。

全体ではなく片言隻句こそが批判の対象となるのであって、それを十分承知の上で、どこを切り取られて報道されてもいいように注意しなければならないということなのだと思います。どれほど悪意に満ちた報道であっても、報道があってこその民主主義なのだと割り切る他はありません。

本来は「健全な」報道があってこそ、と言いたくもなりますが、「健全」とは何か、明確な解はありません。立法・司法・行政間のように相互牽制に基づくチェック機能が働かない第四の権力であるマスコミ各位には、それだけの見識と矜持を期待したいものです。

同様に、誤解や曲解に基づく批判にはきちんと反論すべきであって、黙殺や泣き寝入りはすべきではありませんが、ためにする批判や誹謗中傷、罵詈雑言に対しては対応すればするほど相手の術中に嵌るという面もあります。ゆえに「言論の自由」とはとても困難なテーマですが、報道が権力に迎合することこそが最も恐ろしい結果を招くのだと思っております。国際NGO「国境なき記者団」によれば我が国の報道の自由度は対象180ヶ国中72位、G7の中では最下位なのだそうで、評価の基準についての議論はあるものの、権力側も、報道の側も、これを真摯に受け止める必要がありそうです。

内閣や党の支持率がそう大きく下がらないのは、その実績もさることながら、北朝鮮の動向などを強く意識した国民の大多数が「やはり野党にこの国の安全を任せるわけにはいかない」と感じていることも一因でしょう。

民主党政権時代の安全保障体制は、鳩山・菅政権では総理ご自身が門外漢でしたし、野田政権では総理の見識は前二者に比べれば遥かに優れてはいたものの、一川・田中両防衛大臣は目も当てられない有り様でした。閣僚をはじめとする枢要ポストの人選は、当選年次や年齢のみならず、その分野の政策や担当省庁の内情に通暁した人を起用するのも国家・国民のためというものでしょう。

明日から連休期間に入りますが、28日は自民党長崎県連長崎市第8選挙区支部での講演(午後6時半・ホテルニュー長崎)。

29日土曜日は「激論!クロスファイア」出演(午前10時・BS朝日・収録)、ユースデモクラシー「デジタル憲法フォーラム」にて講演と質疑。

30日日曜日は鳥取県調理師連合会「惣和会」発会式(正午・倉吉シティホテル)、自民党三朝町支部総会にて講演(午後1時半・プランナールみささ)。

3日憲法記念日はテレビ大阪「わざわざ言うテレビ」収録(午後5時・都内)、「プライムニュース」出演(午後8時・BSフジ)。

7日日曜日は宮城県気仙沼市の漁業に関するヒアリング、「日本と気仙沼の水産を考える会」で講演、その後のレセプション(午後3時半~・南三陸ホテル観洋)、水産実務指導者との懇談会(午後7時半・気仙沼市内)、という日程です。
 
5月3日憲法記念日の「プライムニュース」では憲法について共産党の小池晃書記局長と討論の予定です。小池議員とは委員会やテレビで何度か議論したことはありますが、このような形で討論するのは初めてです。

防衛庁長官や防衛大臣在任中、共産党の質問に対しては最も時間を割き、機関誌「前衛」や「しんぶん赤旗」などを丹念に読みました。共産党は我々とは思想や立場が全く異なりますが、理論的には一貫し、精緻なものがあるのでいつも手強い相手でした。良い機会なので、きちんと準備して臨みたいと思っています。

閣僚でもなく、党三役でもなく、海外出張の予定もない連休は何年振りでしょう。読みたかった本や論文を読み、ここのところ不調が続いた体調管理にも努めたいと思っています。

この時期の議員の海外出張は物見遊山的と批判されますが、閣僚の時も党三役の時もすべて機中泊、一日の会議や会談が10件近くという超過密スケジュールでした。真面目に務めている議員が多い中、一部の者のためにすべてがそう見られてしまうのは残念なことです。

まだ当選一・二回生の頃、挨拶廻りや地区の会合に出かける前の早朝に自分で運転して、初夏の山陰海岸の景色を楽しんでいた頃が懐かしく思い出されます。
 
お休みの方、この期間もお仕事の方、どうか皆様お元気でお過ごしくださいませ。

政策コラム執筆者プロフィール
石破茂会長石破 茂 鳥取1区【衆議院議員】
生年月日:昭和32年2月4日
当選回数:10回
学歴:1984年3月 慶應義塾大学法学部卒業
得意な政策分野:安全保障・農林水産・地方創生