石破茂会長石破 茂 です。

加計学園の今治市への獣医学部新設問題について、少し追記します。

前回の本欄において、平成27年6月30日閣議決定の「日本再興戦略」改訂2015において示された4条件を転記しました。

つまり政府としては、、
①感染症対策や生物化学兵器に対する対応などの「新たなニーズ」が明らかであること。
②それが現在存在する国公立・私立の獣医学部や獣医学科では対応が困難であること。
③特区として開設を希望し、提案する主体が「このようにして従来の獣医学科とは異なる教育を行う」というカリキュラム内容や、それを行うに相応しい教授陣などの陣容を具体的に示すこと。
④現在不足が深刻化している牛や馬、豚などの「産業用動物」の治療に従事する獣医の供給の改善に資すること。
以上4点について判断すればよいわけです。

①は主に厚生労働省が、②と③は文部科学省が、④は農林水産省がそれぞれの専門的知見から当事者の主張を聞いて意見を述べ、これらをもとに国家戦略特区認定に権限を有する内閣府が、その責任において判断したことなのでしょう。これらについて適正に行われたという説明を、具体的な根拠の提示と共に果たせばよいだけのことです。国家戦略特区は一部の地域のみの利益に資するのではなく、全国的にその利益が及ばなくてはならないのですから、これも当然検証されているものと考えられます。

現時点では愛媛県今治市への設置が国家戦略特区として認められた段階にしか過ぎず、現在、文部科学省が大学設置審議会にこの開学について諮問中であり、最終的には審議会からの答申を受けて文部科学大臣が判断することになります。

いわゆる忖度があったとか、なかったとか、前川氏が事務次官を辞めた後に政府の対応を批判するとはけしからんとか、ましてや出会い系バーに行っていたなどということは、重要ではあっても事の本質そのものではありません。竹下亘自民党国対委員長が前川氏の証人喚問について「政治の本質とかかわりがない」と述べたことはそういう意味だと私は理解しています。

一昨日、若狭勝衆議院議員が自民党に離党届を提出し、水月会を退会致しました。検事出身らしく、正義感に富んだ、法律家としても優れた人であるだけに、とても残念です。

テロ等準備罪の成立後も、その運用には細心の注意が必要ですし、この法律だけでテロ対策が完璧なわけではなく、今後更なる立法も必要になるのかもしれません。もっと彼の知見を自民党の中で生かしてほしかったと切に思います。

政治家の行動や決断は、その政治信条、実現したい政策・法律、所属する党の姿勢、選挙区の事情などが複雑に絡み合っており、当然すべての方のご理解を得られるものではありません。しかし、若狭議員が私利私欲や打算を主たる行動原理として動いていないことは確かであり、今後とも政治家として、人として語らいは続けていきたいと思っております。

週末は、6月3日土曜日が日本青年会議所中国地区鳥取ブロック協議会「鳥取をよくするシンポジウム」でパネルディスカッションと質疑応答(午前10時・夢みなとタワー・鳥取県境港市)、小里泰弘衆議院議員「地方創生を語る国政報告会」で講演とその後の懇親会(午後6時・ホテルオートリ・鹿児島県薩摩川内市)。

6月4日日曜日は陸上自衛隊部隊新設予定地視察(午前10時40分・鹿児島県奄美市名瀬大熊)、奄美市関係者との昼食懇談会(正午・ホテルビッグマリン奄美)、政策集団水月会鹿児島セミナー第Ⅰ部にて講演(午後6時・城山観光ホテル・鹿児島市)、第2部懇親会(午後7時・同)という日程です。

今週の都心は真夏のような天候が続きました。皆様ご健勝にてお過ごしくださいませ。

政策コラム執筆者プロフィール
石破茂会長石破 茂 鳥取1区【衆議院議員】
生年月日:昭和32年2月4日
当選回数:10回
学歴:1979年3月 慶應義塾大学法学部卒業
得意な政策分野:安全保障・農林水産・地方創生