石破 茂 です。
年始以来、朝鮮半島情勢がより不透明な状況です。平昌オリンピックを間近に控えて、北朝鮮がこれに乗じて南北融和を演出し、日米韓間の離反・デカップリングを企図していることは明白で、この状態は日本や地域の安全保障にとって決して好ましいことではありません。
韓国の思考には日本人の理解を超えたところがあり、しばらくは静観する他はないようにも思われます。
国会閉会中のわずかな時間を利用して書籍の整理をしていたら、読みたいと思いながらそのままになっていたいくつかの本を発見して改めて読み直してみたのですが、その中の一冊「なぜ朝鮮民族は日本が嫌いなのか」(杉山徹宗・光人社・2007年)はなかなか興味深いものでした。
著者は客観的な立場から朝鮮民族を批判的に論じているのですが、同時に「歴史は繰り返さないが、もし日本が日韓協約を結ぶことなく、軍事同盟者として大韓帝国を取り扱っていたならば、朝鮮民族の『恨』をこれほど受けなかったであろうこともまた事実である」「帝国主義時代における日本の植民地支配は、完全に被植民地の主権を奪うものであったから、漢民族王朝への従属以上の屈辱感を朝鮮民族に与えた」「日本人は21世紀の現在においても朝鮮民族の『恨』の感情を理解していないが、一つには日本の歴史教科書では中国の歴史ほどには隣国・朝鮮の歴史を教えていないことが原因となっている」とも述べています。
「韓国は日本を理解していない」のは確かですが、「日本も韓国を理解していない」のもまた事実であって、日本外交のクオリティを高め、より国際社会での発言力を強化するためにも、朝鮮半島の歴史を学ぶ必要性を改めて感じさせられたことでした。北朝鮮については「中朝関係の実像」(村井友秀・日本戦略研究フォーラム季報・2018年75号)から多くの示唆を得ました。
防衛庁長官在任中、出張先のシンガポールでリー・クアン・ユー上級相(元首相)と会談した際、一通りの話が終わった後「ところで貴兄は日本のシンガポール占領時代を知っているか」と問われて返答に窮したことをよく覚えています。過去の歴史を真摯に(そしてあくまでも公正・客観的に)学ぶことは、未来のために必要不可欠なことだと思っています。日本のシンガポール占領時代については「日本のシンガポール占領 証言『昭南島』の三年半」(シンガポールヘリテージソサエティ 2007年)がいまのところ手に入る資料のようです。
今週は、各種の新年会が多くあったことに加えて、昨日急遽沖縄県南城市の市長選挙応援日程が飛び込んできたため、落ち着いて当欄を記す時間がありませんでした。ご容赦くださいませ。
週末は1月20日土曜日が滋賀県議会・奥村芳正議長の新春感謝の集いにて挨拶(午前11時・草津エストピアホテル)、日本青年会議所2018年度京都会議にて講演(午後3時45分・京都国際会館)の予定です。
皆様ご健勝にてお過ごしください。
生年月日:昭和32年2月4日
当選回数:11回
学歴:1979年3月 慶應義塾大学法学部卒業
得意な政策分野:安全保障・農林水産・地方創生
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