石破茂会長石破 茂 です。

21日水曜日、山梨県甲府市での自民党山梨県連憲法改正推進本部主催「なぜ今憲法改正が必要か」と題する学習会に講師として招かれ、講演してまいりました。

平日の午後6時半という出にくい時間にもかかわらず500名の方にご参加いただき、とても有り難く思いました。壇上から見ていて、お疲れの時間なのにほとんどの方が居眠りもされずに熱心に耳を傾けてくださっていたのには感動すら覚えました。

昨年初めに党本部の指示により全国47都道府県すべての自民党支部連合会に憲法改正推進本部を設置したのは、日頃馴染みのないこのテーマについて、どのような論点があるのか、なぜ改正が必要なのかをわかりやすく解説し、ボトムアップの国民運動的に機運を醸成することが目的であったはずですが、一部を除いて多くの地域において細かな学習会を開くこともなく今日に至っているのは極めて残念です。
 
「国の独立(国家主権)を守る組織を保持する」

「司法・立法・行政による統制を確立する」

「その行動は確立された国際法規と国際慣習に従う」
という、国際社会では極めて当然の「軍隊」に関する規定が、「国民には理解されない」と最初から決めつけるのは一体何故なのか、私には理解ができません。

本質は、「現行憲法と、現在の憲法解釈では、日本は完全な独立主権国家たり得ず、自衛隊も十分に戦えず、抑止力も十分ではない」という点にこそあるのです。

今この機会に「主権なき国家」から脱却せずして日本国に未来はないと強く思っています。政治がこれを語らずして、いったい誰がこれを語るのか。

山梨県連は同種の学習会を県内七か所で開催するそうで、その真摯な姿勢に心から敬服しています。国民投票を経る以上、国会議員だけではなく、党員や国民に直接語り掛けることこそが重要なのであり、日本国民はそれに応える英知を持っていると信じます。

裁量労働拡大の是非を巡って国会は混乱気味です。

この方針自体が誤りではありませんが、国会の議論は全く噛み合っていない。誤ったデータを出したこと自体も行政の弛緩を如実に示すものですが、「立場の弱い労働者の裁量が経営側に本当に認められるのか」「名ばかり管理職の過剰労働や残業代カットなどは是正されるのか」「労働の実態を客観的に把握できるシステムは構築されるのか」「労働基準監督官の監督体制はどうなっているのか」等々、本当に知りたいことがよくわからないままに推移している気がしてなりません。

過労死されたご家族を持つ遺族の悲痛な叫びや、現場で過酷な労働を強いられている労働者の声に真摯に耳を傾ける姿勢を失ってしまえば、それはもはや政治の名に値しないのではないでしょうか。

過酷な労働を強いられる人々の現場を誰が作ってきたのか。価格破壊を歓迎し、安い商品を望んで来たことが、正当な対価が支払われない「合成の誤謬」的構造を生んだのではないか。

収益は過去最高でも20年間停滞し続けている企業の売り上げと、実質所得の増加こそが、政策目標に置かれるべきなのだと思います。

ところで、以前に比べてコメント欄に投稿いただく方の数が減ってきていることに私もとても寂しく残念な思いがしております。私の書く内容が難解もしくは稚拙なのか、罵詈雑言の応酬に嫌気がさされたのか、原因は多岐にわたるのでしょうが、自らを省みる必要性を感じております。

週末は、24日土曜日がABS秋田放送開局65周年記念番組「秋田に住みます。人口90万人時代を生きるには」橋本五郎氏・壇蜜女史との鼎談収録(正午・秋田県山本郡三種町、3月3日放映予定)、秋田商工会議所青年部2月例会で講演とパネルディスカッション(午後4時半・秋田市文化会館)、関係者との夕食懇談会(午後7時・秋田市内)。

25日日曜日は富山県内での自民党支部時局講演会(県内5か所)、関係者との夕食懇談会(午後7時・砺波市内)、という日程です。

来週はもう3月に入るのですね。皆様ご健勝にてお過ごしくださいませ。

政策コラム執筆者プロフィール
石破茂会長石破 茂 鳥取1区【衆議院議員】
生年月日:昭和32年2月4日
当選回数:11回
学歴:1979年3月 慶應義塾大学法学部卒業
得意な政策分野:安全保障・農林水産・地方創生